本記事は、ワインショップSpassがお届けするドイツワイン連載の第3回です。
今回は、プファルツ地方を代表する名門生産者 バッサーマン・ヨルダン(Bassermann-Jordan) に焦点をあて、その歴史・哲学・造りのこだわりを紐解きます。
Spass で取り扱う代表銘柄を通して、GG(グローセス・ゲヴェクス)の美学を探ります。
1. バッサーマン・ヨルダンとは? ― 歴史と立ち位置
1718年創業の Weingut Geheimer Rat Dr. von Bassermann-Jordan は、プファルツの歴史を語るうえで欠かせない名門ワイナリーです。
ジョルダン家とバッサーマン家の結びつきにより、1883年から「Bassermann-Jordan」の名を冠し、ドイツワインの発展に大きく貢献してきました。
- VDP(ドイツ高品質ワイン生産者協会)の創設メンバーとして格付け制度を牽引。
- 「畑の個性」を重視する哲学を早くから導入。
- 環境保全・有機栽培への転換を進め、サステナブルなワイン造りを実践。
伝統と革新の融合、それがバッサーマン・ヨルダンのワイン造りの根幹にあります。
2. 醸造哲学とスタイルの特徴
テロワール重視と畑ごとの管理
プファルツ地域内の特級畑(Grosse Lage)を複数所有し、区画ごとに発酵・熟成を分けて管理。
畑ごとの個性を生かすため、ブドウの成熟度や収穫日も細かく調整されています。
発酵と熟成のこだわり
- 自然酵母または野生酵母による発酵で、果実本来の香りを尊重。
- 大樽・オーク・ステンレスを使い分けるハイブリッドな熟成。
- 澱とともに寝かせる シュール・リー熟成 により、質感と複雑さを形成。
これらのアプローチにより、バッサーマン・ヨルダンのワインはテロワール表現と飲み心地の両立を実現しています。
3. Spass 取扱の代表銘柄
| 銘柄 | 分類/格付け | 特徴・おすすめシーン |
|---|---|---|
| バッサーマン・ヨルダン カルクオーフェン GG 2020 | GG(グローセ・ラーゲ/特級畑) | 石灰質土壌のミネラルが際立つ構成美。 魚介、ホタテ、鶏肉のソテーなど上品な料理と好相性。 |
| バッサーマン・ヨルダン カビネット リースリング 2018 | Kabinett(やや甘口) | 果実味と軽快な酸が魅力。 前菜やスパイス料理にも寄り添う万能タイプ。 |
| バッサーマン・ヨルダン ペッフシュテイン GG 2020 | GG(特級) | 辛口。火山性混じりの土壌由来のミネラル感としなやかな骨格。 熟成ポテンシャルを活かして、白身魚のグリル、テリーヌ、軽めのジビエなどと。 |
※ 在庫状況や仕様の最新情報は各商品ページをご確認ください。
4. 味わいの比較と選び方の視点
| 視点 | 注目ポイント |
|---|---|
| テロワールの違い | カルクオーフェン、ペヒシュタイン、ホーヘンモルゲンなど、畑名ごとに香りと骨格が異なります。 |
| 格付けによる表現力 | GGは重厚で長熟、グーツやオルツは軽やかで日常的。 |
| 熟成ポテンシャル | 特級畑ワインは熟成でハチミツやナッツ香を帯び、余韻が深まります。 |
| 醸造スタイル | 野生酵母・シュール・リー熟成などが味わいの奥行きを形作ります。 |
5. まとめ ― 名門が描く GG の哲学
バッサーマン・ヨルダンは、プファルツの伝統と革新を体現するワイナリーです。
創業300年を越える歴史の中で、格付け制度の礎を築きながら、常に新たな挑戦を続けてきました。
GGからカビネットまで、テロワールと職人技が共鳴する彼らのワインを、ぜひSpassで体験してください。
次回(第4回)は、
「食卓を華やかにする辛口リースリング ― ビシェルのフンデルトグルデン GG を中心に」
をお届けします。ファルツの個性を映すGGの新潮流に迫ります。